深重の海/津本陽 を読んで
2018年5月28日に永眠された
小説家の津本陽さん。
彼の代表作で79回直木賞を受賞した作品「深重(じんじゅう)の海」を
読むことになったのは、近所の図書館で特集を追悼特集をくんでいたのがきっかけだった。
【追悼】津本陽さん 圧倒された「深重の海」の世界観 作家・伊東潤(1/2ページ) – 産経ニュース
歴史小説界の重鎮・津本陽氏がお亡くなりになられた。確かにご高齢だったが、お元気にしていると聞いていたので茫然(ぼうぜん)としてしまった。私は津本氏とこれまで二度…
津本陽作品との出会い
実は、津本陽さんの作品を読むのはこれが初めてではなく、
どちらかというと歴史小説家としてその作品に親しんできた。
といっても晩年の作品や
忍者物といった異色とされる作品が多かったので、
追悼特集の中から、世に出た出世作となる「深重の海」をチョイスしたわけだ。
深重の海は圧倒的な世界観だった
時代は明治。紀伊半島の南西部、太地を舞台にし、捕鯨組織の終焉を描いた作品。
津本陽さんの時代小説はどれも読みやすい印象だったが
この初期作はなんとも難儀するのが、その言葉遣い。
「のし」「なよのう」というような訛りが、時代そのままでなんとも読みにくい。
しかし、これが読み進めるとなんとも世界観に没頭できる言葉になっていることに気づいた。
世代を超えた鯨の戦い。そして、終わりゆく伝統捕鯨組織
タイトルのごとく、圧倒的な海の持つ重み深みが全編を覆い尽くすような
なんとも重苦しい物語の中で、一瞬浮かび上がる喜び、そこからのまた終わらない苦しみ。
さらには鯨との壮絶な戦い。
そして、何度か起きる結末。
そこに活劇と呼べるような表現は一切なく、ただただ苦しみの中で蠢くしかない人間のひ弱さ。
それすらも跳ね除けようと共存する強さ。それが非常に腹に重く効く作品でした。
愚直にいまを戦っている人なら読む価値あり
例えば、僕はこのブログを毎日更新するという
価値があるのか、価値がないのか。
まだわからない中で進んでいるわけだけど。
毎日を、環境や自分と戦っている人には、ある種の勇気をくれる作品でした。
津本陽さんご冥福をお祈りします。
月並みですが、
素晴らしい作品と出会えて感謝です。
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